介護ジャーナリスト凛次郎 『ほすぴたりてぃ』

介護難民、介護離職、高齢者虐待、現行介護保険制度の矛盾とあるべき公的介護支援について、「ホスピタリティ」の視点から考えていきます。 

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高齢者は「働くことしか才能がない」だって!? 麻生さん、また問題発言。

2009'07.25 (Sat)

「喉元過ぎれば……」とやらで、ようやく念願の解散を果たした麻生さん、またまた問題発言です。

毎日新聞ニュースによれば、25日、横浜市内で開催された日本青年会議所(JC)主催の会合で、
麻生さんが「元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くことに、絶対の能力がある。80歳過ぎて遊びを覚えても遅い。働ける才能をもっと使い、その人たちが働けば、その人たちは納税者になる」と述べたそうです。

この発言、麻生さんご自身は、高齢者にも働いてもらい活力ある長寿社会を作ろうという持論を述べたつもりでしょうが、「働くことしか才能がない」って、どういう意味だろう?
高齢者はまだまだ働いて税金をいっぱい払えといってるのだろうか?

そういえば、去年も麻生さん、後期高齢者医療保険について、なんかヘンなこと言って、その後の発言を撤回しました。
二度も三度も問題発言を繰り返すということは、やはり、根本的な政治姿勢として、高齢者に対する
思いやりがないのだと思います。

昨日は、細田自民党幹事長も、国民の意識の低さについて問題発言していました。もはや、自民党政権が末期的症状を迎えていることを、総裁も幹事長も、自らの発言で実証しているようなものです。

これから選挙戦がヒートアップするにつれ、ますます本音の発言が出るでしょう。私達有権者は、それもまた、 政権選択する上での判断材料のひとつにしましょう。

「隣組介護」とシビルスタンダードの考え方

2009'07.25 (Sat)

選挙モードに突入して、自民と民主どちらが勝つかに関心が集まってきました。
マスコミ各社でも、国民の関心がどこにあるかの調査を進めていますが、やはり社会保障への関心が一番高いようです。各党のマニュフェストが出揃った段階で、目指すべき社会保障制度などについて、比較検討してみたいと思います。

さて今回は、前回のシビルミニマムの続きとして、シビルスタンダードの考え方について紹介したいと思います。

シビルスタンダードとは、前にも簡単に述べたように、発想の原点になっているシビルミニマムという考え方が量的充足であるのに対して、公共サービスの質的充足の意味を持っています。

最近、地域コミュニティの再生が盛んに叫ばれていますが、シビルスタンダードの発想は、これまでのトップダウンではなく、地域コミュニティからのボトムアップという形で生まれています。

地域において、住民からの新しい考え方(新しい価値観)に基づいて、公共サービスの質充足の議論がなされていかなければならないという考え方が、シビルスタンダードです。

地域コミュニティは元々、その構成員が一人一人を尊重し合い、自らの意思で新しい連帯の絆で結ばれている意識の醸成が大事です。
地域コミュニティ内での協力・協働・支えあいの精神から、良質の居住環境を共同で整備していくための発想が出てきて、精神的な集団目標への合意が生まれ、共通の秩序づくりが出来てきます。

そして、その秩序作りの基本単位になるのが、「向こう三軒両隣り」的な範囲での地域コミュニティです。
そして、介護をはじめとする高齢者福祉について、このシビルスタンダードの考え方をあてはめた場合に考えつくキャッチフレーズが、「隣組介護」です。

住民同士で生活の一部を共同化する方法について模索することや、「向こう三軒両隣り」のコミュニティの機能や空間の中で相互扶助的に環境整備するやり方が考えられてきます。

高齢者の日常生活圏は非常に限定的です。たいていの場合、500m歩くのが上限だともいわれています。一方で都市の規模はどこでも拡大し、昔シビルミニマムの発想の下で作られてきた病院や福祉施設などは、どんどんと郊外に出来て、高齢者にとっては利用しがたい施設になっていることも事実です。

長く住み慣れた土地にずっと住み続け、そこに終の住処を求めたいとする高齢者の願望とはまったく反対の方向に進んでいることも事実です。

今、高齢者に求められている、居住スペースと介護付病院を組み合わせたような医療や福祉施設、あるいは高齢者に癒しと安らぎを与える公園・緑地の整備、地域密着型の小規模多機能施設やグループホーム、あるいは共同生活のグループリビングの住まいなど、狭いエリアでの施設整備と、なによりも「向こう三軒両隣り」エリアでの、健全な地域コミュニティの形成が何より必要としていると思います。

今しきりに叫ばれている地域分権社会ですが、それはシビルスタンダードのまちづくりによって実現するのではないでしょうか?各政党も全国知事会も、はやく、地方分権が実現した暁に広がる地域のビジョンというものを示すべきだと思います。

小説「金環蝕」が読みたくなって

2009'07.20 (Mon)

テレビの朝のワイドショーがこぞって、「46年ぶりの皆既日食」と「自民党の権力闘争」について報じていたこの日、私は、1970年代に大ヒットした、石川達三さんの小説「金環蝕」が読みたくなって、古本屋に走り、ついでに、これが原作となっている同名の映画も見たくて、レンタルショップに寄り道した。幸いにして本は、文庫本で見つかったが、映画のDVDはなくて、後日また探してみることにする。

なぜ急にこの作品を思い出したかといえば、映画のタイトルバックに皆既日食が映っていたことと、自民党総裁選に絡む政官民の癒着構造を、実際にあった事件をモチーフにしていたからである。

簡単にストーリーを紹介しよう。

今の自民党にあたる民生党の総裁選のシーンから始まる。その総裁選で派閥を代表する2人の候補が党員に金をばら撒き、その金を補填するために公共事業がらみの汚職劇が始まっていくという、昔も今も変わらぬ、政治とカネの問題である。

日本最大級のダム工事をめぐり、ゼネコンが官邸や通産省に働きかけ、受注の見返りに5億円の政治献金を出す。その5億円は、工事の発注予定額に組み込まれており、税金が政治家に還流していく仕組みとなっている。そして、それを成功させるために様々な裏工作が行われ、それが暴かれようとする時、闇の手による殺人も起きる。
 
この汚職にいち早く感づいた、石原という金融業者が、ゼネコンや官房長官、通産省などとの関係を調べあげ、小規模な新聞社や「マッチポンプ」と呼ばれる国会議員を巻き込んで政界を揺さぶっていく。それに危機感を抱いた政府は、検察や法務省を使って隠蔽を図り、政治汚職をめぐる泥沼の戦いが繰り広げられるという、これまた現代社会にも通ずる展開である。

金融業者に情報を漏らしているとみなされた首相秘書官や新聞社の社長が抹殺され、この金融業者もまた、検察の手によって、脱税容疑で逮捕されて戦いは終わる。それと同時に首相が病死し、首相と政権の座を争った後継者が弔辞を読み上げるシーンで幕を閉じるという展開である。

政治の世界は、外側は眩しいばかりに輝いているが、その実、中は恐ろしく黒いということを、金環蝕に例えて紹介をした作品だった。
 
この作品が作られたのは、55年体制が始まって10年後の九頭竜川ダム落札事件の頃で、正に実録映画であった。そして、対立した2人の派閥の領袖とは、池田勇人氏と佐藤栄作氏であったとされている。

皆既日食から46年、そしてこの権力闘争が行われてから40年経った今でも、この小説に古めかしさを感じないのは、まさに今の自民党内で繰り広げられている権力闘争が、当時も今も、構造的には変わっていないからである。

まさに、政治というのは不変的な世界だと思わざるを得ない。
 
またいつか、皆既日食が見られる時に私は生きているかわからないが、その時こそ、この小説「金環蝕」を思い出すことが無いような政治体制であることを望みたい。


シビルミニマムからシビルスタンダードへ

2009'07.19 (Sun)

今日はちょっとお堅い日記になります。

私が大学で財政学を学んでいた頃、当時のテキストに、「シビルミニマム」という言葉が登場していました。もう現代では、完全に死語になっている言葉です。

シビルミニマムとは、堅苦しい表現になりますが、「社会的に認められる最小限度の国民生活水準として、国家が広く国民全体に対して保障すべき必要最低限の生活水準をナショナルミニマムと呼ぶのに対して、市民レベルで維持すべき最小限度の生活水準を指し、国ではなく自治体が住民の生活のために保障しなければならないのがシビルミニマムである」と、昔のテキストには書いてありました。

つまり、シビルミニマムは主に自治体が市民に対して保障する必要最低限の生活環境基準で、たとえば、学校とか図書館、病院、下水道設備、道路整備、公共交通、公園など、市民に与えられた生活権のうち、社会保障としての「生存権」と公共財として共有できる「共用権」、生活のための環境を享受する「環境権」の3つの権利を保障することであるということですが、ますます判らなくなってきましたねぇ。
まぁ、ありていに言うならば、当時のシビルミニマムとは、公共事業を中心とした「よその都市並の生活環境の整備」といったところではなかったでしょうか。

この頃は、サラリーマン層を中心に、まあまあ個人の所得が増え、GNPも高く、とりわけ核家族化を志向する団塊世代が中心となって、マイホームブームが起きて、都市が拡大し、都市機能の充実ということが政治の重要なテーマの一つになっていました。

住民が生活を営む上で都市が当然備えていなければならない、社会保障、社会資本および社会保険を公共的に整備することが急務となり、それらの科学的、定量的指数を設定することがシビルミニマムであったのです。

日本国憲法第25条にも、「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあって、シビルミニマムの達成は、国及び自治体の責務のひとつでした。

時代が進むにつれ、国による地方自治体への指導と補助金制度によって、現在ではすべての市町村に基本的な社会保障、社会資本、あるいは社会保健施設が整備されていきました。
しかし、一方で過疎過密への進行に歯止めがかからず、都市部においても、人口減少が著しい農村部においても、地域コミュニティの崩壊という問題が起きてきました。

世代間、家族間のライフスタイルや価値観の相違が顕著となって、地域の生活環境やまちづくりに対する住民の自主的活動が停滞してきました。

本来地域コミュニティがもっていた、防犯・防災機能や青少年育成、社会教育、高齢者の医療福祉、共同意識などが弱体化してきたのです。

シビルミニマムが達成された今、これからの住民生活にとって必要になってくるのが、地域コミュニティ再生のための新たな秩序づくりとしての、「シビルスタンダード」という基本理念と価値基準、住民の自治思想だといわれています。

日本国憲法第25条で保障する、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の中には、当然公的な介護支援を含めた高齢者福祉社会の実現が含まれています。

行政サービスにおける、量的な充足ではない、質的な充足を満たすための価値基準が、シビルスタンダードの考え方になっていますが、次回は、このシビルスタンダードの視点に立った高齢者福祉社会の実現について考え方を述べていきたいと思います。

平均寿命、3年連続過去最高=女性86.05歳、男性79.29歳

2009'07.16 (Thu)

厚生労働省の発表によれば、2008年の日本人の平均寿命が、女性で86.05歳、男性は79.29歳と、ともに3年連続で過去最高を更新したそうです。

また、女性は24年連続で世界一を維持して、男性は前年の3位から4位となりました。
厚生労働省の簡易生命表によれば、前年からの延びは女性が0.06歳、男性が0.1歳で、男女差は前年より0.04歳縮小し6.76歳になっています。

さらに、08年生まれの子供が将来がんで死亡する確率は、男性29.98%、女性20.49%。心臓病、脳卒中を含めたいわゆる三大死因では、男女ともに依然5割を超えています。三大死因を克服すれば、男性で8.1歳、女性で7歳、平均寿命が延びる見込みだそうです。

平均寿命における男女差が小さくなっていることについて、長寿のニュースであり、素直に喜ぶべきことなのですが、私がひとつ懸念することは、今後ますます老老介護が増加するだろうということです。

特に団塊世代は、同級生結婚など、同世代同士の結婚が多いといわれています。今、団塊世代が要介護を迎える時の対応が色々と懸念されていますが、同世代夫婦による老老介護とは、男性による女性の介護、つまり夫が妻を介護するケースも、今より増えてくることが当然予想されるのです。

団塊世代に限った話ではないのですが、以前高齢者虐待について、このブログにも書いたことですが、今、頻発する介護殺人や介護心中の悲劇の多くが、老老介護によるうつ病から、夫が妻を殺すケースです。

男性は自らの要介護を心配するとともに、家族を介護する立場になることも覚悟し、それなりの心構えと知恵とテクニックを持たなければならないということです。

平均寿命における男女差の縮小は、「男介の時代」を迎えることだと認識しても、けっして間違いではないと思います。 

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プロフィール

rinjiro

Author:rinjiro
凛次郎(りん・じろう)
1954年山形県生まれ。法政大学経済学部卒。サラリーマン時代に勤務先が介護ビジネスに参入し、訪問介護、福祉用具レンタル、施設での給食サービスなどの実務を経験。独立後はフリーライターとして、NPO活動や高齢者福祉、ホスピタリティ・ビジネス全般の取材や執筆活動、講演などを行う。
著書
「介護崩壊」「団塊楽園の崩壊」(いずれも晋遊舎より)
旅行・ホテル・映画産業・保険業界など、ホスピタリテイビジネスを専門分野とする業界解説本など。

取材・インタビュー
「プレジデント50+」「週刊現代」

テレビ出演
「たかじんのそこまで言って委員会」(よみうりテレビ)
 ゲストコメンテーター

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