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認知症の妻殺害の初公判を傍聴して
2009'07.07 (Tue)
昨年8月、山形県鶴岡市で起きた、認知症の妻(72)を殺害した夫(77)の公判が昨日と今日、山形地裁で開かれました。
起訴状によると、被告は昨年8月30日午後10時ごろから同31日午前8時50分ごろの間、自宅1階北西側の寝室で、殺意を持って妻の首を何らかの方法で圧迫し、窒息させ殺害したとしています。被告は2003年4月まで通算3期、合併前の旧町で町議を務めています。被害者は、平成17年から認知症に認定されて、夫がずっと妻の介護にあたっていました。
裁判の冒頭、被告は「殺した覚えはない」と否認し、被告の弁護人も「殺害する意思も動機もない。首の圧迫により窒息死させた行為もない」と述べました。
公判前整理手続きで、この裁判の争点は
(1)殺意を持ち、首を圧迫したか
(2)完全な刑事責任能力があったか にありました。
冒頭陳述で検察側は、被告が、認知症を患った妻に日常的に暴力をふるっていたと指摘し、殺害当夜は、「いつものように認知症の薬を妻に飲ませようとしたところ、妻が拒んだため犯行に及んだ」と説明しています。
言葉のやりとりとして、薬を拒んだ妻から、「この薬はあなたが飲んだ方がいい」と言われたことに対して、逆上して、妻の首を圧迫して窒息死させたものと指摘し、圧迫は少なくとも3分以上続いた、としています。また、刑事責任能力も「あった」と検察側は述べています。
一方、弁護側は殺人ではなく「不幸にして起こった事故」と主張。「被告は夜にベッドを抜け出し徘徊を始めようとした妻を戻そうと、体を押したり引いたりした。翌朝になって異変に気付いた」と経過を説明し、ベッドに戻す際、首に手がかかった可能性はあるとしたものの「死因は頭部打撲などによる脳障害が重なったもの。首の圧迫で直接死に至ったのではない」と述べています。
刑事責任能力についても「介護疲れで心身のバランスを崩しており、限定的だった」と反論しています。
この事件は私の地元で起きたことや、夫による妻の介護、認知症患者に対する接し方、元町議という
地域コミュニティにおいてはリーダー的立場の人が、なぜ殺人に及んだのかなどの関心があって、二日間傍聴していました。
被告の体力の消耗は激しく、この日の公判にも車イスに横たわったまま入廷し、裁判長から何度も「身体がきつかったら、いつでも退廷していいから」といわれ、審理の途中、何回も車イスの背もたれを倒して、横になる場面がありました。
また、証人として出廷した長男は、実の父親が実の母親を絞め殺すという痛ましい事件に対して、「胸が裂かれるほど辛い」と、何度も涙を流していました。
密室の行為であることから、事件の真相は老夫婦二人だけが知ることですが、夫から妻に対して、日常的に虐待が繰り返されていたことや、昼夜がまるで逆転してしまう、認知症患者への介護の辛さなど、厳しい介護の実態が明らかにされました。
被害者が毎夜、 徘徊していたのは、夫の暴力から逃れるためで、それを徘徊とは言わないのではないかという検察側の主張もまた、真理を突いていました。
「なぜ公的介護支援を使わなかったのか」という尋問に対して、実の子供も「なぜだったのかよくわからない。特養への入居も空き待ちだった」と語ったことが印象的でもありました。
身内が認知症にかかったことを世間には公表したくないとする、被告の見栄がこの事件を引き起こしたもう一つの要因のような気がしてなりませんでした。
次回公判は10月に開かれます。
起訴状によると、被告は昨年8月30日午後10時ごろから同31日午前8時50分ごろの間、自宅1階北西側の寝室で、殺意を持って妻の首を何らかの方法で圧迫し、窒息させ殺害したとしています。被告は2003年4月まで通算3期、合併前の旧町で町議を務めています。被害者は、平成17年から認知症に認定されて、夫がずっと妻の介護にあたっていました。
裁判の冒頭、被告は「殺した覚えはない」と否認し、被告の弁護人も「殺害する意思も動機もない。首の圧迫により窒息死させた行為もない」と述べました。
公判前整理手続きで、この裁判の争点は
(1)殺意を持ち、首を圧迫したか
(2)完全な刑事責任能力があったか にありました。
冒頭陳述で検察側は、被告が、認知症を患った妻に日常的に暴力をふるっていたと指摘し、殺害当夜は、「いつものように認知症の薬を妻に飲ませようとしたところ、妻が拒んだため犯行に及んだ」と説明しています。
言葉のやりとりとして、薬を拒んだ妻から、「この薬はあなたが飲んだ方がいい」と言われたことに対して、逆上して、妻の首を圧迫して窒息死させたものと指摘し、圧迫は少なくとも3分以上続いた、としています。また、刑事責任能力も「あった」と検察側は述べています。
一方、弁護側は殺人ではなく「不幸にして起こった事故」と主張。「被告は夜にベッドを抜け出し徘徊を始めようとした妻を戻そうと、体を押したり引いたりした。翌朝になって異変に気付いた」と経過を説明し、ベッドに戻す際、首に手がかかった可能性はあるとしたものの「死因は頭部打撲などによる脳障害が重なったもの。首の圧迫で直接死に至ったのではない」と述べています。
刑事責任能力についても「介護疲れで心身のバランスを崩しており、限定的だった」と反論しています。
この事件は私の地元で起きたことや、夫による妻の介護、認知症患者に対する接し方、元町議という
地域コミュニティにおいてはリーダー的立場の人が、なぜ殺人に及んだのかなどの関心があって、二日間傍聴していました。
被告の体力の消耗は激しく、この日の公判にも車イスに横たわったまま入廷し、裁判長から何度も「身体がきつかったら、いつでも退廷していいから」といわれ、審理の途中、何回も車イスの背もたれを倒して、横になる場面がありました。
また、証人として出廷した長男は、実の父親が実の母親を絞め殺すという痛ましい事件に対して、「胸が裂かれるほど辛い」と、何度も涙を流していました。
密室の行為であることから、事件の真相は老夫婦二人だけが知ることですが、夫から妻に対して、日常的に虐待が繰り返されていたことや、昼夜がまるで逆転してしまう、認知症患者への介護の辛さなど、厳しい介護の実態が明らかにされました。
被害者が毎夜、 徘徊していたのは、夫の暴力から逃れるためで、それを徘徊とは言わないのではないかという検察側の主張もまた、真理を突いていました。
「なぜ公的介護支援を使わなかったのか」という尋問に対して、実の子供も「なぜだったのかよくわからない。特養への入居も空き待ちだった」と語ったことが印象的でもありました。
身内が認知症にかかったことを世間には公表したくないとする、被告の見栄がこの事件を引き起こしたもう一つの要因のような気がしてなりませんでした。
次回公判は10月に開かれます。
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